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「いや、どうぞ構はんで下さい」
「なんだ、さつぱり判らんぞう」
根津が箱根における化物話は、それからそれへと伝わった。本人も自慢らしく吹聴していたので、友達らは皆その話を知っていた。
と云つた。
「やつぱり、あんただつた」
――「やあ、おいでなさい。わたし相沢です」
「芋の子」といふのが房一につけられた前からの綽名あだなであつた。それは小さく円く肥つた彼の身体の感じをよく現はしていたが、今ではそれを口にする人々の間に、或る納得しがたい性質、種族の異つた感じ、さういふ意味をいつとなく感じさせて来た。
今泉は調子づいた。
「はあ、それは――」
「さうです。――どうかなさつたかね」
と、徳次は足を踏ん張つたまゝ今泉に云ひかけた。こんなに彼の方から話しかけるなんてことは滅多になかつたので、よほど虫のいどころがよかつたのだらうが、それでもいつものあの愚弄するやうな色は争はれなかつた。
「ほう、ほんに!みんなある」
「――?」